**1995年11月製薬協発第1445号による改訂
                                          *1994年4月 改訂

        日本薬局方フロピルチオウラシル錠

抗甲状腺剤 チウラジール錠
 THIURAGYL tablet

日本標準商品分類番号872432
承認番号(60AM)2679薬価基準収載

【組  成】

1錠中 プロピルチオウラシル…‥…‥‥…‥50mg

【効能・効果】

甲状腺機能亢進症

【用法・用量】

●プロピルチオウラシルとして、通常、成人に対しては初期量1日300mg(6錠)を3〜4回に分割経口投与する。症状が重症のときには1日400〜600mg(8〜12錠)を使用する。機能元進症状がほぼ消失したなら、1〜4週間毎に漸減し、維持量1日50〜100mg(1〜2錠)を1〜2回に分割経口投与する。
●通常、小児に対しては初期量5歳以上〜10歳末満では1日100〜200mg(2〜4錠)、10歳以上〜15歳末満では、1日200〜300mg(4〜6錠)を2〜4回に分割経口投与する。機能亢進症状がほぼ消失したなら、1〜4週間毎に漸減し、維持量1日50〜100mg(1〜2錠)を1〜2回に分割経口投与する。
 通常、妊婦に対しては初期量1日150〜300mg(3〜6錠)を3〜4回に分割経口投与する。機能亢進症状がほぼ消失したなら、1〜4週間毎に漸減し、維持量1日50〜100mg(1〜2錠)を1〜2回に分割経口投与する。正常妊娠時の甲状腺機能検査値を低下しないよう、2週間毎に検査し、必要最低限量を投与する。
 なお、年齢、症状により適宜増減する。

【使用上の注意】

1.禁忌(次の患者には投与しないこと。)

  (1)本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
**(2)重篤な肝障害のある患者〔肝障害を悪化させるおそれがある。〕

2.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること。)

**(1)肝障害のある患者〔肝障害を悪化させるおそれがある。〕
**(2)中等度以上の白血球減少又は他の血液障害のある患者
  〔白血球減少あるいは血液障害を悪化させるおそれがある。〕

3.相互作用
 併用に注意すること

*(1)クマリン系抗凝血薬(ワルファリン)〔抗凝血作用に影響を及ぼすことがあるので、併用する場合はプロトロンビン時間をモニターするなど慎重に投与すること。〕
*(2)ジギタリス製剤(ジゴキシン等)〔ジギタリス製剤の作用に影響を及ぼすことがあるので、併用する場合はジギタリス製剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。〕

4.副作用(まれに:0.1%未満、ときに:0.1〜5%未満、副詞なし:5%以上又は頻度不明)
 (1)重大な副作用

  1)無頼粒球症:ときに無顆粒球症(初期症状:発熱、全身倦怠、咽頭痛等)があらわれることがあるので、無顆粒球症が疑われる場合には直ちに投与を中止し血液検査を行うこと。無顆粒球症発生の場合には抗生物質及び副腎皮質ホルモンの投与等の適切な処置 を行うこと。
  2)再生不良性貧血、低プロトロンビン血症、第XTT因子欠乏症、血小板減少性紫斑病、白血球減少症:再生不良性質血、低プロトロンビン血症、第XIl因子欠乏症、血小板減少性紫三虹病、ときに白血球減少症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
 **3)劇症肝炎、黄痘:劇症肝炎、まれに黄痘等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  4)SLE様症状:まれにSLE様症状(発熱、紅斑、筋肉痛、関節痛、リンパ節腫脹、脾腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

 (2)その他の副作用

 **1)肝臓:GOT、GPT上昇等があらわれることがある。
  2)皮膚:ときに毛髪の脱落、皮膚色素沈着、癌痺感、紅斑等があらわれることがある。
  3)消化器:ときに悪心・嘔吐、下痢、食欲不振等があ らわれることがある。
  4)精神神経系:ときに頭痛、めまい、抹消神経異常等があらわれることがある。
  5)過敏症:ときに発疹、じん麻疹、発熱等があらわれることがあるので、このような場合には他の薬剤に切り換えること。症状が軽い場合は、抗ヒスタミン剤を併用し、経過を観察しながら慎重に投与すること。
  6)その他:ときに倦怠感が、また、まれにリンパ節腫脹、関節痛、筋肉痛、唾液腺肥大、浮腫、味覚減退があらわれることがある。

*5.高齢者への投与

 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、用量に注意すること。

6.妊婦、授乳婦への投与

(1)

1)妊娠中の投与に関する安全性は確立していないが、胎児に甲状腺腫、甲状腺機能抑制を起こすとの報告がある。
2)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人にやむを得ず投与する場合には、定期的に甲状腺機能検査を実施し、甲状腺機能を適切に維持するよう投与量を調節すること。
3)新生児に出生後しばらくは、甲状腺機能抑制が、また、その後甲状腺機能冗進があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。

(2)ヒト母乳中へ移行(血清レベルの1/10程度)するので、本剤を大量に投与する場合は、授乳を避けさせることが望ましい。

7.過量投与

 甲状腺腫、甲状腺機能低下があらわれることがある。

8.その他

(1)本剤投与中インスリン自己免疫症侯群が発生したとの報告がある。
(2)外国において、本剤の妊娠中及び授乳中の投与により、新生児に肝障害があらわれたとの報告がある。

【薬効薬理】

1.甲状腺ホルモン生合成抑制作用1)

ラットを用いた実験で、プロピルチオウラシルは甲状腺の131T−摂取率を低下させた。

2.末梢作用2)

甲状腺摘除ラットを用いた実験で、プロピルチオウラシルはT4からT3への脱ヨード化を抑制した。

【体内薬物動態】


甲状腺機能亢進症患者6例にプロピルチオウラシルを1回100〜280mg投与したところ、30〜60分で最高血中濃度7.2〜18.3〃g/mlに達した。また血中プロピルチオウラシルの半減期は1.36±0.41時間、分布容量は326±32ml/kgであった。

【臨床適用】

<副作用>

 2,491症例のうち81例(3.25%)に何らかの副作用が認められた。主なものは白血球減少症1.1%、無顆粒球症0.4%、発疹0.4%、蕁麻疹0.3%、発熱0.3%、関節痛・筋肉痛0.2%であった。

【非臨床試験】

<吸収、分布、代謝及び排泄>5)

 ラットに14C−プロピルチオウラシル20mg/也を経口投与したところ、血祭中の57%がタンパクと結合し、75〜90%が尿中に、15%が胆汁中に排泄された。また40〜48%はグルクロン酸抱合体、9〜15%は末変化体として尿中に、13%はグルクロン酸抱合体として胆汁中に排泄された。

【性  状】

<製剤の性状>

 白色のフィルムコート錠で、剤形等は下記のとおりである。
 識別コード(会社コードSR、製品コード252)

外 形

直 径

厚 さ

重 量

側 面

mm

mm

mg

     

7.2

3.5

115

           

<有効成分の理化学的知見>
 構造式:  

 分子式:C7Hl。N20S

 分子量:170.24


 一般名:プロピルチオウラシル(げ)(propylthiouracil)(INN)

 化学名:2,3-dihydro-6-Propyl−2−thioxo−4(1H)-pyrimi−dinone

 融 点:218〜221°

 性 状:白色の粉末で、においはなく、味は苦い。エタノールにやや溶けにくく、水又はエーテルに極めて溶けにくい。水酸化ナトリウム試液又はアンモニア試液に溶ける。

【取扱い上の注意】

1.貯   法

 室温、遮光した密閉容器

2.使用の期限

 外装に表示(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること)

【包  装】

 200錠

 PTP500錠(10錠×50)

【主要文献及び文献請求先】

<主要文献>

 1)Richards J.B.et al.:Endocrinol. 65:198(1959)
 2)塩川喜之:日本内分泌学会雑誌40:34(1964)
 3)奥野晃正:日本小児科学会雑誌86:578(1982)
 4)Vanderlaan W.P.:Pharmacol.Rev.7:301(1955)
 5)Sitar D.S.et al.:J.Pharmacol.Exp.Ther.
           183:440(1972)

<文献請求先>

東京田辺製薬株式会社第一営業本部学術部
   〒103東京都中央区日本橋本町2−2−6
販売元東京田辺製薬株式会社
         東京都中央区日本橋本町2−2−6
製造元白井松新薬株式会社
      東京都中央区日本橋本町4−8−16 登録商標 N3Y09−10


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